平成27年度
成長分野等における
中核的専門人材養成の戦略的推進事業

 これからの方向性

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基本的方向性

 

(1)中核的専門人材及び高度人材養成

我が国の経済社会を支える中間層として、産業や社会構造の変化、グローバル化に対応した新たな知識・技術・技能を備え中核的な役割を果たす専門人材や高度な人材を質的・量的に確保することが必要である。

 

中核的専門人材とは
実践的かつ専門的な知識・技術・技能を身に付け、職業に必要な卓越したまたは熟達した実務能力に基づく業務を遂行し、または、グループや中小規模の組織の中で中核的な役割・機能を果たす厚みのある中間層
高度人材とは
高度な専門的知識・技術・能力を身に付け、大規模な組織の中やある職業活動領域において、新しい課題等に対し、責任を持って解決に導くマネジメント能力やイノベーションの創出に必要な資質等に基づき業務を遂行する人材

 

産業界等のニーズを踏まえた中核的な専門人材や高度人材の養成を戦略的に推進していく観点から、各成長分野における人材養成に係る取組を先導する広域的な産学官コンソーシアム等を組織化し、中核的専門人材や高度人材の養成のための新たな学習システムの基盤を整備する。その際、我が国の企業数の99%、従業員数の70%を支える中小企業への就職や、雇用のミスマッチ※10、高度人材に対する具体的なニーズ等の実態を踏まえつつ、地域の産業や医療福祉等、中小企業のニーズや、グローバル化に対応した人材養成を行うことに留意する。

 

本事業の対象とする分野は、政府全体の政策方針等を踏まえ、今後の雇用創出が期待される成長分野として、環境・エネルギー、医療・福祉・健康、IT(クラウド゙、ゲーム・CG等)、食・農林水産、クリエイティブ(デザイン・ファッション等)、観光等に新たな分野を加え、次のような分野のコンソー シアム、職域プロジェクトにおいて、産業界等の具体的なニーズを踏まえた中核的な専門人材や高度人材の養成を推進する。

 

想定される各分野コンソーシアム、職域プロジェクトの例

●環境・エネルギー分野「建築・土木・設備」、「電気・電子、情報・通信」、「自動車整備」、「再生可能エネルギー」等)
●医療・福祉・健康「介護・看護」、「食・栄養」、「歯科医療」
●食・農林水産(農業:6次産業化プロデューサー、グローバルアグリビジネス、フードビジネス)、(林業:林業生産技術)、(畜産:獣医療体制、産業動物 等)
・クリエイティブ(デザイン、ファッション、アニメ・漫画、美容のグローバル・キャリアフレームワーク)
・観光(インバウンド、観光プロデューサー、ツアープランナー、ニューツーリズム等)
・IT(クラウド、スマホ、ゲーム・CG、自動車組込み等)
・社会基盤 (次世代インフラ、インフラ海外展開、インフラ再生・インフラシステムの輸出等)
・経営基盤強化(税務・法務、企業会計、記録情報管理、知的財産)
・工業(防災都市工学)
・グローバル専門人材育成(中小企業を対象とした国際対応能力、他の職域プロジェクトとの連携、職業教育・高等教育資格枠組みの調査研究)
・高等学校・高等専修学校と高等教育機関との連携による実践的職業教育(高校・高等専修学校と地方公共団体、企業・業界団体等とが連携した「実践的な職業教育アドバンスドコース」の開発等)

 

なお、中核的専門人材及び高度人材の定義は、各分野において、一定の成果が得られた段階で、それぞれの特性等が異なることを踏まえつつ、可視化の観 点から、各分野において、どのような能力をどのようなレベルで修得する必要があるのか、学校、企業・業界団体等が共通認識を図れるよう、それぞれの具体的 な目標設定等に応じた定義や業務レベルの設定等を行うこととする。

 

 

(2)各分野の取組

各コンソーシアムにおいては、当該分野を俯瞰し、

  1. 産業構造の変化、グローバル化への対応に新たに必要とされる実践的・専門的な知識・技術・技能を修得し、イノベーション創出を支える能力(専門性の深化)
  2. 各分野に共通して求められる業務遂行能力等や職業人にとって必要な基本的な知識・能力(専門性に基づく業務能力の伸長)

等の2つの軸を中心に体系的に整理し、それぞれの知識・技術・技能等の可視化を図る。
中核的専門人材及び高度人材が遂行する業務のレベルについては、次の図のような基本的な業務レベルを参考に、当面、各分野の特性を踏まえたレベルを設定するとともに、今後の職域プロジェクト等の開発・実証等の状況を踏まえつつ、必要な改善を図ることとする。

 

業務レベルのイメージ

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技術者に対し、革新的な技術を創造していく能力や業界ニーズを的確に把握し、製品化する能力が重視される傾向が指摘されるように、専門的な職業人が 共通し て求められる基本的な知識・技術・技能とそれらを活用し新たなニーズに対応する応用能力を重点的に育成するとともに、社会的・職業的自立に向けて必要な基 盤となる能力や態度等を育成することが期待されている。併せて、各分野に共通して求められる次のような課題解決能力等の知識・技術等を基盤とした人材養成 システムを構築する。

 

各分野に共通して求められる知識等のイメージ

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(3)生涯にわたる学び直し

人口減少期を迎え、成熟した社会においては、社会人、再就職を希望する女性、高齢者等が希望する多様な学習機会が提供され、就業やキャリアアップ、 社会的活動につながるような教育環境整備が重要となる。しかしながら、前述のとおり、我が国の大学や就業を目的とした高等教育機関における社会人入学者の うち25歳以上の者の割合は、OECD平均を大きく下回っている※11

 

中核的専門人材養成等の戦略的推進においては、学びと職業の両立を希望する社会人等に対し、自らの職業のキャリアパスが描けるような学習ユニットの 提供を行い、これらの積み上げが教育機関等において適切に評価され、社会において生かされるような学習基盤を整備する。その際、産業や社会構造の変化に対 応し、また、学びと職業の両立が可能となる学修環境として、多様かつ柔軟な教育プログラムの充実が必要であり、各学校における正規課程のみならず、体系的 な短期プログラムの開発・充実が期待される。

 

(1)~(3)をふまえ、生涯にわたって学び直しが可能となる新たな学習システムの構築を推進するに当たり、次の3つの柱を基本とした各分野の特性を踏まえた取組を支援する。

 

新たな学習システムの基盤整備
  1. 成長分野等において、各分野における企業・業界団体等のニーズを踏まえた人材養成策の策定
  2. 社会人等が学びやすい学習システムの導入促進(キャリアパスが描けるような「学習ユニット積上げ方式」によるアクセスしやすい学習環境の提供等)
  3. 各分野における教育の質の保証・向上の仕組みづくり

 

 

(4)教職員の質向上

成長分野等における新たな学習システムの構築においては、専門学校・大学等において必要な知識・技術・技能を教授する教員の資質向上を図るととも に、教職員が各分野における産業界等のニーズを適切に把握しつつ、学習者が生涯にわたる職業生活を主体的に設計できる力を修得できるよう、教育内容・方法 の改善・充実を進めていく仕組みづくりを推進する。

 

例えば、教職員の資質向上を図るため、
1.関連分野における先端的な知識・技術等を修得する機会
2.関連分野の企業・関係施設、業界団体等との連携による、
・ 産業界等におけるニーズの把握、必要な知識・技術・技能の可視化及び評価
・ 在職者などの学習者ニーズ、学習環境を踏まえた教育プログラムの編成・改善
等に係る具体的手法等を修得するための研修機会等の充実が重要である。

 

 

(5)他の政策との連携

社会人等の就業・キャリアアップなどに関連し、各府省の行政目的に沿った各種施策が講じられることを踏まえながら、学習者のキャリア形成の観点から 安心して学び直しが可能となるような具体的な連携が図られることが期待される。 特に、今後、雇用の創出が期待される成長分野における人材養成に係る関係施策や、職業能力評価の観点から、学習者及び職業訓練を受ける者の学修成果(修得 した能力)の可視化を図り、教育機関、職業訓練関係機関、就業先の企業等において共有され、就業やキャリアアップ等へつながるような職業教育・職業訓練の 強化に係る施策との具体的な連携を図る。

 

また、政府関係会議等における指摘や、今後の各府省の人材育成に係る関係の政策の方向性を踏まえつつ、引き続き、各コンソーシアム等の進捗状況を踏まえながら、全国的な標準モデルカリキュラム開発や達成度評価などの具体的な成果が得られた段階における連携方策を検討する。
※政策例
・在職者向けキャリアアップ、キャリア転換支援
・若年者・女性の再チャレンジ支援
・公共職業訓練、求職者支援
・職業能力評価基準、技能検定・業界検定など職業能力評価の活用促進
・ジョブ・カード
・農業の6次産業化、新規就農等における活用  など

 

 

(6)グローバル化への対応

我が国の成長を支える中核的専門人材としてのグローバル化への対応の在り方を検討するため、企画推進委員会の下、平成24年5月に、有識者からなる グローバル専門人材養成の在り方検討ワーキング・グループを設置し、審議を重ねてきた。その中では、①諸外国等の動向を踏まえた実践的な職業教育に係るグ ローバル化への対応の意義・方向性、②我が国の企業等の海外市場拡大・展開等に対応した中核的専門的人材の需要拡大への対応や、③職業実践的な学修成果が 国内外で評価される仕組みの構築を目指した基本的な考え方及び具体的方策について、これまで審議してきた論点を整理した。

 

今後、グローバル専門人材養成の在り方検討ワーキング・グループにおける審議状況を踏まえ、成長分野等において、特に拡大しつつあるアジア諸国等の 市場拡大や、国際会議等の職業教育に係る議論を念頭に、実践的かつ専門的な職業人材を養成する教育の国際的な質保証の在り方について、具体的な取組を推進する。

 

 

(7)推進体制等

国においては、教育関係者、産業界関係者、学識経験者等による企画推進委員会を設置し、①分野・職域の設定、②運用指針の決定、③事業計画の審査、 ④事業の進捗状況のフォローアップ、及び⑤各分野における共通の課題の総括、評価の在り方など今後の方向性について検討し、各コンソーシアム等へ提示する。

 

各コンソーシアムは代表校を中心に、人材育成を行う教育機関等と産業界・職能団体等の雇用者側が参画し、当該分野の特性を踏まえた学習システムのモデル構築と、それらの質保証の枠組みづくりを推進することが期待される。
事業終了後は、産学官連携による推進体制として、国レベル及び各コンソーシアム等において積極的に成果普及を推進する。

 

 

(8)コーディネート機能の強化等

各コンソーシアム及び職域プロジェクトにおいて、当該分野における産学官のニーズ把握やコンソーシアムの活動等の調整・とりまとめ役となるコーディ ネーター機能として以下のような役割・機能を明確にした上で取り組む。また、コンソーシアムのコーディネーターは、コンソーシアムの下で設けられた職域プロジェクト間との調整等について行う。
・産業界等ニーズの把握・分析(企業・業界団体等の将来的課題、方向性等を既存文献等も含め分析、関係機関・外部関係者等のアンケート、より具体的な課題等のヒアリング等)
・コンソーシアム及び職域プロジェクト参加者による目標・課題等の設定・共有・全国的な標準モデルカリキュラム等の開発に必要な人的・物的資源の把握
・全国的な標準モデルカリキュラム等の開発・実証、及び既存プログラム等も踏まえた学習ユニット積み上げ方式のモデル構築
・上記に係る活動に当たっての参加校、企業・業界団体等との調整・進行管理・評価・効果の分析
・実施後の成果普及・フォローアップ・改善までの調整 等

 

 

(9)フォローアップ

これまで企画推進委員会において、各コンソーシアム及び職域プロジェクトの進捗状況の把握及び毎年度の成果についてフォローアップを行い、各取組に 共通する課題及び改善点について指摘を行ってきた。平成26年度より、「地域版社会人の学び直しプログラム」の開発・実証を行い、その上で全国展開を図る ことを予定しているが、本事業の成果は、本事業を通じて提供される教育プログラム、教育プログラムを開発する産学官連携の体制構築及びそれらを受講した学 習者の学修成果の活用状況などが考えられる。

 

前述のとおり、「日本再興戦略」においては、政策群ごとに達成すべき目標(KPI)が設定されており、2013年度から2016年度以降までの施策 実施のスケジュールが示されており、2018年までに大学・専門学校等での社会人受講者数を5年で24万人(現在12万人)とすることが目標(KPI)として掲げられている。

 

このため、本事業の実施を契機として提供される教育プログラムの成果のフォローアップとしては、以下のような事項について、数値目標のみならず定性 的な指標等を示した上で追跡調査等を行い、就労、キャリアアップ等に資するものとなっているかどうか等を評価することとする。平成26年度以降は、先行し て取組を進めている可能なものから成果の評価を行い、情報発信を行うこととする。
※フォローアップの例
・教育プログラムの内容や活用されたコース数
・社会人等の受講者数
・受講者の評価
・就業先や研修先による受講者の受講後の状況の評価

 

※10 参考資料1 3頁:我が国を支える中小企業 –背景-
※11 大学及び就業を目的とする高等教育機関における社会人入学者の割合《参考資料1 28頁》
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